野球を観戦していると「QSを達成した」「〇〇選手のQS率が上がった」など投手に対して言われる指標がありますが、何を意味しているのか分からない人もいるのではないでしょうか。この指標はアメリカでよく使われるセイバーメトリクスの一つであり、投手の評価を下す時によく使われます。
今回はそのQSの意味や評価で使われるQS率、プロ野球のQS率ランキングを紹介していきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
1. 野球QSの意味とは?
Quality Start(クオリティスタート)の略称であるQS(キューエス)の意味は、6イニング以上を自責点3以内に抑えた時に記録される指標のことです。ここで大事なのは6イニング以上ということです。
いくら5イニングまでパーフェクトに抑えたとしても、6イニングまで投げきれなければQSを達成したとは言えません。また、自責点となっていますので、味方のエラーなどが絡んだ失点は含まれないことにも注意しましょう。
言葉だけでは分かりにくいと思いますので、QSが記録されるケースとされないケースを見てきましょう。例えば、A投手、B投手、C投手の3選手が以下のような成績を残した場合は、
- A投手:6イニングを自責点2でQSが記録
- B投手:5イニングを自責点2でQSは記録されない
- C投手:7イニングを自責点4でQSは記録されない
となります。たとえ、C投手のように7イニングを投げたとしても自責点を3以内で抑えていないと、QSは記録されません。もちろん、6イニングを投げきらないと記録されないのも当然ですね。
ということで、上のケースではA投手だけがQSが記録されます。
2. QS率の計算
QSが記録されるのは大事ですが、やはり登板回数が増えてくる先発ピッチャーにとってはQS率も大事になってきます。計算式は以下のようになります。
QS率=QS/先発登板数
例えば、先発登板数が3回あり、そのうちQSを1回記録した場合だとQS率は33.33%(1/3)になります。3回に1回はQSを記録する選手だということですね。
日本プロ野球では、QS率が60%以上超えている選手を一流選手とし、70%から80%を超えてくると超一流のエースのピッチャーとなります。現在、ニューヨークヤンキースで活躍しているマー君(田中将大選手)は、2013年にQS率100%というとてつもない記録を作り、メジャーへ挑戦しました。
それくらいQSというのは、ピッチャーを評価するうえで欠かせない指標となっています。
3. 2017年度セ・リーグQS率ランキング
まずはセ・リーグを代表する先発ピッチャーのQS率ランキングを見ていきましょう。
順位 | 選手名 | 所属 | QS | QS率 |
1 | 菅野智之 | 巨人 | 21 | 84.00% |
2 | マイコラス | 巨人 | 22 | 81.48% |
3 | 秋山拓巳 | 阪神 | 18 | 72.00% |
4 | 野村祐樹 | 広島 | 17 | 68.00% |
5 | 田口麗人 | 巨人 | 17 | 65.38% |
セ・リーグのQS率ナンバーワンは菅野智之選手です。現在、日本プロ野球界でもエースと言われているだけに84%ものQS率があるのは凄い記録ですね。
巨人以外にも阪神の秋山選手や広島の野村選手など、コントロールが良いピッチャーがランクインしている印象があります。
4. 2017年度パ・リーグQS率ランキング
2017年度パ・リーグのQS率ランキングを見ていきましょう。
順位 | 選手名 | 所属 | QS | QS率 |
1 | 菊池雄星 | 西部 | 23 | 88.46% |
2 | 千賀滉大 | ソフトバンク | 17 | 77.27% |
3 | 岸孝之 | 楽天 | 20 | 76.92% |
4 | 則本昂大 | 楽天 | 18 | 72.00% |
5 | 二木康太 | ロッテ | 15 | 68.18% |
こちらも菊池雄星投手が堂々の一位です。2017年は左のエースとして覚醒し、QS率は何と88.46%です。セ・リーグと違い、DH制があるパ・リーグでこの記録を達成するのはかなり凄いことです。
2位以下の選手も千賀投手や則本投手など2017年のWBCで活躍した選手もランクインしており、やはり能力が高いということが分かります。
5. まとめ
ここまでQSの意味や計算方法、ランキングをご紹介してきました。最後におさらいすると、QS率が高いピッチャーはそれだけ試合を作る能力に長けており、チームとしても計算が立ちやすい選手だということになります。
特に、QS率が70%から80%を超えるとかなり能力の高いピッチャーとなるので、そんな選手を見た場合は「凄いピッチャーだ!」と認識して見ていきましょう。